根ワークショップ（金谷） 発表要旨 1999.11.19
この要旨の出典：
森田茂紀・阿部淳 1999. 出液速度によるイネ科作物の根系機能の評価と環境応答. 根の研究 8(4):*.
作物の根系機能を改善し、安定して高品質・多収をあげていくためには、根系機能を定量的に評価する必要がある。従来、呼吸速度、酵素活性、酸化・還元力などの様々な指標に着目して根系機能を評価する試みが行なわれてきた。しかし、これらの方法の多くは根を掘り出さなければならず、また根の一部を切り離して取り扱うことが多い。したがって、圃場において根系全体を対象として測定することは容易ではない。そこで、著者らは出液速度に着目して根系機能を評価することを検討している。出液現象は根圧に基づく能動的な吸水を基盤としており、エネルギ−を利用した代謝過程である。そのため、蒸散に基づく受動的な吸水に比べて量的に少ないが、根の生理活性を反映していると考えられる。また、出液速度は圃場において根系を掘り出さずに全体を対象として簡単に測定することができ、しかも特殊な機器を必要としないという利点もある(森田･阿部,1997a;森田･阿部,1999d)。
著者らは主にイネやトウモロコシを対象として、（１）出液速度の日変化(森田･豊田,1996a;森田,1998b;森田ら,1998d;岡本ら,1999)、茎葉部の生育に伴う推移(森田ら,1996b;折谷ら,1997;阿部ら,1998;森田ら,1998a;森田,1998c;森田ら,1998d;森田･阿部,1999a;森田･阿部,1999b)、根量との関係(森田ら,1998a)、などの基礎的な特性について検討を行なった。（２）環境条件として温度や光条件を取り上げ、出液速度に対する影響を調査した(森田･豊田,1996;阿部ら,1998;岡本ら,1999)。（３）「出液速度＝根量×単位根量当たりの生理活性」という視点から解析を進めた(森田,1998b;森田,1998c;森田ら,2000)。（４）登熟収量と出液速度との関係について考察を進めた(Songmuang et al.,1997;森田ら,1997b;森田･阿部,1999a;森田･阿部,1999b;森田ら,1999c)。（５）出液中の成分の分析をした(森田･豊田,1996a;折谷ら,1997)。（６）他の指標との関係を予備的に検討した(本間ら,1999)。
引用文献
阿部淳ら(1998)日作紀 67(別2):182-183.;本間知夫ら(1999)第12回根研究集会要旨集.16.;森田茂紀･豊田正範(1996a)日作紀
65(別2):119-120.;森田茂紀ら(1996b)日作関東支部報 11:18-19.;森田茂紀･阿部淳(1997a)ｸﾞﾘ-ﾝﾚﾎﾟ-ﾄ
276:8-9.;森田茂紀ら(1997b)第8回根研究集会要旨集.4.;森田茂紀ら(1998a)日作紀 67(別1):70-71.;森田茂紀(1998b)日作紀
67(別2):50-51.;森田茂紀(1998c)第9回根研究集会要旨集.5-6.;森田茂紀ら(1998d)日作関東支部報
13:62-63.;森田茂紀･阿部淳(1999a)第11回根研究集会要旨集.7-8.;森田茂紀･阿部淳(1999b)日作紀
68(別2):168-169.;森田茂紀ら(1999c)第12回根研究会要旨集.5.;森田茂紀･阿部 淳(1999d)根の研究
8(4)(印刷中);森田茂紀ら(2000)日作紀 69(印刷中).;岡本美輪ら(1999)日作紀 68(別1):178-179.;折谷隆志ら(1997)日作紀66(別1):216-217.;Songmuang,P.et
al.(1997)Root Research 6(Special IssueNo.1):32-33.