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「根ワークショップ」開催報告

本間知夫

野菜・茶業試験場茶栽培部 
E-mail: homma@tea.affrc.go.jp

写真はこちらをご覧下さい

 11月19日午後(13:00〜18:45含む懇親会)、静岡県金谷町の農林水産省野菜・茶業試験場会議室にて、根に関するワークショップを開催致しました。

【ワークショップ開催に至る経緯】

 野菜・茶業試験場では、今年度「根における環境認識機能の解明に関する研究」という課題を遂行中で、その一環でスロバキア・コメニウス大学のAlexander Lux先生、名古屋市立大学の谷本英一先生を金谷に招聘致しました。両先生、そして両先生と共同研究を行なっている東京大学の森田先生、阿部先生にも話題提供を依頼し、さらに研究課題参画研究室の担当者にも参加・話題提供を要請し、招聘した二人以外は皆手弁当での参加にもかかわらず快諾下さり、本ワークショップ開催となりました。ワークショップの案内は本誌、根研究会ホームページで行うと共に、滋賀で行われた第12回根研究集会の懇親会の席でも紹介させて頂きました。また静岡県内の大学、試験場、企業の研究所、近県の試験場にも案内を送付しました。

案内のなかでの主催者の挨拶・趣旨説明はこちらをご覧下さい

【プログラム】

 当日は以下のようなプログラムでワークショップが行われました。
 (講演タイトルをクリックすると、要旨が表示されます)

 13:00-13:05 野菜・茶業試験場・木下茶業研究官挨拶

  <座長> 森田茂紀(東京大学大学院)
 13:05-13:40 Alexander Lux(スロバキア・コメニウス大学理学部)
      
「Preliminary Study of Tea Root Anatomy」
 13:40-14:15 谷本英一(名古屋市立大学自然科学研究教育センター)
      
「根の生長と細胞壁粘弾性変化−チャの根の場合」

  <座長> 松尾喜義(野菜茶試・茶栽培部)
 14:15-14:50 森田茂紀(東京大学大学院農学生命科学研究科)
      
「出液速度によるイネ科作物の根系機能の評価と環境応答」 
       阿部 淳(東京大学大学院農学生命科学研究科)
      
「陸稲の耐乾性と根系構造 − 個根の形態的特性に着目した解析の試み」

 14:50-15:00 休憩

  <座長> 阿南豊正(野菜茶試・茶栽培部)
 15:00-15:15 中野明正(野菜・茶業試験場施設生産部環境制御研究室)
      
「施設生産土壌におけるストレス緩和技術と根系の反応」
 15:15-15:30 坂本有加(野菜・茶業試験場施設生産部栽培システム研究室)
      
「養液栽培における湿気中根の機能」
 15:30-15:45 本間知夫(野菜・茶業試験場茶栽培部作業技術研究室)
      
「チャの根の電気的特性計測と環境応答」
 15:45-16:00 大山直美(野菜・茶業試験場花き部開花制御研究室、科技庁特別研究員)
      
「チャにおけるジベレリンの解析」

 16時過ぎ〜 場内案内(案内役:本間)---噴霧耕装置によるチャの栽培

 17時過ぎ〜18:45 懇親会(本館会議室)

【ワークショップの様子】

 講演者及び事前に参加申込みの連絡を受けた人は計27人でしたが、当日試験場の人が数名飛び入りで参加したようで、結局約30人弱の参加者がありました。そんなに大きくない会議室がきっちりと埋まり、ワークショップを企画した私としてはまずはホッと致しました。
 プログラムに従い、当試験場の茶の研究の総括者である木下茶業研究官の挨拶の後、東大・森田先生を座長に、Lux先生の講演が始まりました。各講演の要旨は後のページにまとめてありますので御参照下さい。ただLux先生の要旨はチャの根の形態について、ここ金谷に滞在中に行なった仕事をまとめてありますが、実際の講演ではそれに先立ち、スロバキアで取り組んでいる重金属汚染の解決に植物の利用が期待されているというBiomederationの話しや以前鳥取大に半年間滞在したときのソルガムの耐乾性の話しもされました。続いて谷本先生による講演で、細胞壁粘弾性測定についてわかりやすい解説を交え、エンドウでの結果と比較させながらチャの場合について紹介頂きました。当初、外から来て頂く先生方には一人当たり35分の時間を割り振ったのですが、それでも内容が豊富で足りないくらいでした。さらに、東大の森田先生・阿部先生は当初どちらかにお話頂くつもりが、最終的にはお二人にそれぞれ話して頂くことになりました。しかし時間はそのままお二人で35分と大変短い時間で我慢して頂かざるを得なく、企画者としては大変申し訳なかったと反省しております。豊富な内容、質疑応答で時間通りには進まず、10分ほどオーバーして休憩に入りました。休憩後は、冒頭でも書きました野菜・茶業試験場で遂行中の課題に参画している研究室の担当者が、それぞれの研究内容・進展状況を手短にまとめて話しました。
 全般的に時間を短めに設定した点については、内容が多彩なため散漫にならないようにと思ってのことだったのでした。しかし根・環境応答というキーワードで、そして8講演中4講演がチャに関する話しということで意外とまとまり・つながりが多く、根の研究分野の第一線で活躍されている先生、そして野菜茶試の若手(筆者を除く)の生きのいい話しをまとめて聞くには、今から考えるとちやはり時間が短かったなと反省してます。

【見学&懇親会】

 懇親会は17時から同じ会場で行いましたが、その会場設営の間、私本間が現在手がけている噴霧耕装置(ミストチャンバー)によるチャの苗の栽培とその根を希望者に紹介し、見て頂きました。
 懇親会には17名の方の参加を頂き、盛況に終わりました。あいにく試験場を出る最終バスが19:00と早く、最後にLux先生に挨拶を頂いて早めのお開きとなりました。しかしLux先生、谷本先生、森田先生、阿部先生は隣の島田市で同じホテルでしたので、場所を代えて続きを行なったようです。

【ワークショップを終えて】

 今回、Lux先生・谷本先生を同じ時期に招聘できた機会を利用し、交通の不便な静岡県金谷町で、充実したワークショップを開くことが出来たこと、しかもチャの話題も多く金谷ならではの特徴が出せたものができ、大変嬉しく思っております。これもひとえに、各先生方と同僚、そして忙しい中わざわざ時間を割いて参加下さった方々のお陰と感謝しております。来年春の第13回根研究集会も同じ金谷の野菜・茶業試験場で行われます。多くの方々の御参加・御来場をお待ちしております。


野菜・茶業試験場(金谷)のホームページはこちらです

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